「健康」「介護・介護予防」「住まい」のシニア・シルバー層の新市場情報
| インタビュー / 制度ウォッチ |
| 厚生労働省 老健局計画課 認知症・虐待防止対策推進室長 |
| 井内 雅明 氏 |
| 予防型コミュニティを提案 |
| 〜”孤立死”のゼロを目指し〜 |
「高齢者が1人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」)ゼロを目指して」の報告書がまとまった。少子高齢化が進む中で、同会議のテーマは国民的課題として幅広い有識者などの参加をみた。事務局として尽力した厚生労働省老健局計画課認知症・虐待防止対策推進室長の井内雅明氏に報告書の狙いや高齢者問題について聞いた。
■「『孤立死』ゼロを目指しての報告書がまとまりました」 これから少子高齢化が進む中で、単に高齢者の人口が増えていくというだけではなく、65歳以上の高齢者の世帯がどう変わっていくかが重要だ。今後は、高齢者夫婦世帯が増えていき、そのうちどちらかが亡くなると単身高齢者の世帯が増えていく、という新しい世帯推計が出た。一人暮らすという「孤立」した世帯が増えていくという認識に立った上で、「孤立死」防止対策を考えていただいた。 ■「いろいろな意見が出されました」 「孤立死」が起こる背景を指摘していただいた。もちろん少子高齢化ということもありますが、個人の生活上の問題、例えば失業や離婚などを契機に「孤立」する場合もあります。そうした人の中には、地域や子供、兄弟などとのつながりを自ら絶っているケースが増えているとの指摘もいただいている。
いわば「孤立死」の対象となる側の意識の問題ともいえる。そうなると、誰にも看取られずに亡くなる人が増えてくる。どうするかについて、予防型のコミュニティをつくるという提案をいただいた。■「推進会議では縦割り行政といわれる中で、とくに横の連携の重要性を指摘されました」 厚生労働省の中でも介護保険制度などを担当する私ども老健局が中心となって行ったが、社会保険というところの地域福祉課と一緒に進めた。もともと厚生労働省だけの問題ではないので、自治体を管轄される総務省、高齢者のあるべき住宅の姿・街づくりという視点から国土交通省、通報を受けての初動あるいは普段の見守りなどの関連で警察庁の4省庁が事務局となって進めることになった。 ■「『孤立死』について推進会議の他にはどういう取組みを」 国庫補助で「孤立死ゼロ・モデル事業」を実施している。平成19年度に全国78カ所のモデル自治体で行った。実態把握、普及啓蒙、安否確認システム、緊急情報システム、サロンなど集う場、ネットワークの構築、相談事業など、地域の関係者などが協力して取り組んでいる。
具体例として、郵便局外務職員による月2回の定期的な安否確認、励ましやいたわりの声かけ、新聞店に見守り依頼などさまざまな試みがなされている。こうした取組みによってノウハウを蓄積し、それがまた他の自治体の参考になればよいと思う。■「現在取り組まれている仕事については」 認知症対策と虐待防止対策の二つが大きな柱。虐待防止については、虐待防止法ができて平成18年4月から施行され、ようやく2年になる。新しい法律では、介護施設などの介護スタッフによる虐待と、家族による虐待を分けて防止していくようにしている。
昨年、虐待の実態調査を行ったが、全国で1万2000件余りの報告がなされている。自治体には防止のためのさまざまな取組みをお願いしている。介護施設などには研修などで職員の意識を高めるよう指導している。
認知症対策についてはいろいろな対策がありますが、私どもでは認知症の介護施策を所管している。認知症は各人の個性をよく見てていねいに対応すれば、進行を遅らせることができる。ケアの内容を高度化するなどに取り組んでいる。認知症を国民に知ってもらう、というのも大事な仕事です。2005年から10カ年計画で「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」を行っている。認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職域で認知症の人や家族を支援する”認知症サポーター”の養成にも取り組んでいる。100万人の目標を立てているが、現在40万人ぐらいまでできている。