「健康」「介護・介護予防」「住まい」のシニア・シルバー層の新市場情報
| インタビュー / 高齢者賃貸住宅の動向について |
| (財)高齢者住宅財団 企画総務部長 |
| 藤原 康志 氏 |
| 高専賃は年間1万戸増 |
| 〜詳細情報の提供で支援〜 |
■高専賃の伸びが目立っています。 そうです。現在2万戸ほどで、1年前と比べると年間1万戸ペースで増えていることになります。 ■高齢者の賃貸住宅についての流れをお聞かせください。 賃貸住宅という概念で言いますと、平成13年10月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(居住法)」が施行されました。当時は高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)と高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)の2つを柱にして出発しました。高専賃については、それより4年ほど遅れて平成17年12月に居住法の施行規則を改正して新たに作った制度です。 ■高専賃の状況はどうですか。 高優賃はもともと認定物件で、高齢者向けの住宅として法律上はバリアフリーで広い廊下、手すりなどの要件を備えていなければなりません。事業者は都道府県知事等から認定を受けて初めてその物件を高優賃と名乗ることができます。逆に、法律上の要件を満たしていなければ高優賃として認定されないわけです。認定されると、国と地方公共団体から建設費の一部を補助金として得られるメリットがあります。
国としては、高優賃が大きく伸びていくことを考えていたと思いますが、実際には地方公共団体の財政負担が大きいことなどの理由によりあまり拡大していません。一過性の建設費の補助だけでなく、家賃補助といったランニングコストの負担が大きいようです。全国で2万戸ぐらいで、民間ベースだと1万戸に達していません。■高円賃については。 高円賃は登録制である点が高優賃と大きく違っているところです。高円賃の登録の条件は、高齢者の入居を拒否しないということだけです。だから、若い人も入居できます。住宅のスペックについての規制はありませんし、当財団が高齢者居住支援センターとして登録住宅の情報を利用者に提供するだけです。こちらは緩やかな制度で高齢者向けの賃貸住宅を安定的に確保しようということでしたが、高齢者向け仕様という面で必ずしもうまく機能しているとは言いがたい状況です。
そこで登場したのが高専賃です。高円賃と同じく登録制ですが、高齢者の専用住宅としてハードのスペックのほかに食事や介護などの情報も細かく提供しています。情報提供を工夫することで、登録制ではあるが、結果として自然淘汰により良質な物件が残るようにしたのが高専賃の制度です。■高専賃の動向については。 これから高齢者が増えていく中で、高齢者に配慮した住宅の普及は大きな課題です。厚生労働省が療養病床の廃止を打ち出していることや、有料老人ホーム等が総量規制されていること、公営住宅が満杯状態であることなどを考えると、そうした在宅療養、在宅介護の高齢者をどこで受け入れるか、という問題があります。高専賃の役割はますます高まってくると思います。
また、有料老人ホームなどの場合は利用権方式が多く、事業者が倒産すればそれで終わりです。高専賃ですと賃貸契約なので事業者が代わっても、そのまま賃貸するというメリットはあります。■財団としての活動は。 平成18年に東京と大阪で高専賃という制度の研修会を一般向けに行いましたが、定員を上回る関心の高さでした。昨年は医療法人をメーンに同様の研修会を開催しました。
高齢者向け住宅といっても、その内容は玉石混交です。私どもはより詳細な情報提供と市場原理によって、利用者のニーズに応えていない物件は淘汰されていくのではないかと考えております。
しかし、それだけでは十分だとは思いません。事業者を含め高齢者向け住宅に関わる人材をいかに育成していくかが重要です。どうすれば高齢者が安心して心豊かに過ごせるか、という視点を常に持ち続けなければいけないと感じています。